ビタミンEは、体内で抗酸化物質として働き、
フリーラジカル(活性酸素)の発生によるダメージを予防する脂溶性ビタミンです。
フリーラジカルは反応性が高く不安定な分子で、
DNA・タンパク質・脂質などの分子から電子を奪い、細胞を変性させます。
フリーラジカルが体内に蓄積され、抗酸化物質とフリーラジカルのバランスが崩れると、
体内の細胞や組織にダメージを与え、酸化ストレスを引き起こします。
このダメージによる酸化ストレスは、以下のような様々な慢性疾患の発症に繋がる可能性があります。
・血管を覆う細胞を傷つけ、動脈を狭めたり硬化させたりするプラークの形成による心血管系疾患。
・DNAを傷つけることによって起こる癌。
・脳細胞を傷つけることによる、アルツハイマー病やパーキンソン病など神経変性疾患。
・炎症を引き起こすことで、関節炎、喘息、糖尿病などに繋がる炎症性疾患。
以上のように、フリーラジカルは慢性疾患の発症の原因となるリスクが高いのです。
これに対してビタミンEなどの抗酸化物質はフリーラジカルを中和する作用があり、
これらの疾患のリスクを低減するのに役立ちます。
また、ビタミンEには、心臓病・癌・アルツハイマー病などの
慢性疾患のリスクを軽減する可能性があることも言われています。
ここでは、ビタミンEが慢性疾患のリスクを軽減する働きについて紹介します。
[心臓病]
ビタミンEは、動脈にプラークを蓄積させるLDL(悪玉)コレステロールの酸化を防ぐことにより、心臓病のリスクを低減するのに役立つと考えられています。
[癌]
抗酸化物質は、細胞や組織の酸化ストレスによるダメージを防ぐ作用があることから、癌の発生を予防すると考えられています。
[アルツハイマー病]
ビタミンEは、脳細胞が酸化ストレスの状態になることを防ぎ、脳の機能低下によるアルツハイマー病の進行を遅らせると言われています。
このように、ビタミンEが慢性疾患のリスク軽減に有効であると考えられています。
その一方で、ビタミンEは大量に摂取した場合に出血のリスクが高まるなど、
有害な影響を及ぼす可能性があるとも言われています。
ビタミンEは、ナッツなどの種実類や植物オイルなどから、
その他の栄養素も含めバランス良く摂ることが、一般的に安全で病気の予防に役立ちます。
そのため、ビタミンEのサプリメントを選ぶときには、
植物由来の天然原料のものを選ぶことが効能を期待できるでしょう。